東京高等裁判所 昭和42年(ネ)2661号 判決
小橋照夫が控訴人の使用人として昭和三九年九月二四日から同年一〇月三一日まで、常盤台支店長の地位にあつたことは前記のとおりで、前記のとおり小橋が自ら豊田に面接して大機産商に対する貸付方を依頼したのは白昼営業時間中右支店の応接室においてであり、そのさい同人は豊田に対しあたかも小橋が当時管理していた大機産商に対する貸付について、支店長として保証するもののように振舞い、右は控訴人相互銀行が貸付をするまでのつなぎ資金であつて、控訴人常盤台支店を支払場所とする担保手形は必らず決済するよう責任をもつて管理すると称して、豊田を信用させるような言辞を弄し、大機産商に対する貸付を実行させたのである。しかして一般に相互銀行が資金の貸付等の与信行為を行い、これに附随する業務としての保証も、内部的にはともあれ、必要の都度営業行為としてこれを行いうるものであることは明らかで(相互銀行法第二条参照)、相互銀行が取引先に対しその債権確保のため随時その内容に留意し、時にその経理関係に立ち入り、いわゆる管理的行為をすることも世上まれではなく、かかる管理下にある取引先に正規の融資をするまでのいわゆるつなぎ資金として他からの借入をあつ旋し、これについて保証することもありえないところではなく、かくして借入れた金員を取引先の口座に入金してその決済資金にあてることはもとより相互銀行の業務であるとするに妨げないところである。かような見地に立つて右に認定したような小橋のした一連の行為を綜合的に観察すれば、それは小橋の支店長の職務の範囲外の行為であつたとはいえ、控訴人相互銀行の信用のもとに控訴人相互銀行の行為としてなされたものとの外形を有するものにほかならず、結局において控訴人の事業の執行について行われたものといわなければならない。従つてかかる行為によつて、小橋が被控訴人らに与えた損害は、控訴人はその使用主としてその賠償責任を負うべきである。
(浅沼 岡本 田畑)